後ろ向きに歩く

 過去へと下ることでみずからを現代の風景のなかに叩き出し、四方八方さらには自分自身にさえも否!を突き付けることだ。その途上にあって、私はもっといろいろを識らなければならない。自分自身をどこまで追いつめられるかというかけひき。

 「貴様らは人間の滓だ。社会の恥だ。だが、永遠に人間の滓であり社会の恥でありつづけたくないなら、いま、踏みとどまれ!……惨めな日傭たちよ。なぜ自分の舌を嚙みきらないか、なぜ舌を嚙みきるつもりで立ちあがらないのか……」(高橋和巳『憂鬱なる党派』)